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『ホテル・ルワンダ』を観る [映画]

『ホテル・ルワンダ』(テリー・ジョージ/2004/南アフリカ・イギリス・イタリア)は、アフリカの小国ルワンダでの内戦において、実際に行なわれた大量虐殺に題材をとった作品だ。フツ族とツチ族の対立。フツの過激派によって殺された難民は120万人以上にのぼるという。1990年代半ばのアフリカで、ジェノサイドと呼ばれる殺戮が平然と行なわれていたのである。映画では、言葉で反戦を直接訴えるのではなく、装甲車が行き交う街中の混乱をリアリティある映像で描くことで、メッセージを浮き彫りにさせる。客観的な視座に立っているだけに、かえってメッセージの質というのか、そこに込められているものの説得力と破壊力が違う。

主人公のポール・ルセサバギナは、ホテルの若き支配人だ。彼は迫害された人々を救った功績から「アフリカのシンドラー」といわれたそうである。もっとも、彼が多くの者を救うことが出来たのは、国連部隊を率いるオリバー大佐や赤十字の仕事に携わるパット・アーチャー、政府軍がホテルを襲わないように仏政府に掛け合ったホテル本部のテレンス社長をはじめ、多くの人の助けがあってのことだということも、忘れてはいけないのだろう。印象に残ったのは、そんな主人公の傍らで必死に子供たちを守ろうとする妻を演じたソフィー・オコネドーの迫真の演技だ。

ところで人間には、己の尊厳と良心にかけて、「やめてはいけないこと」というものがある。「社会的怒り」というやつもそのひとつだ。この映画は、そのことを如実に思い起こさせてくれる。迫害された者はただ逃げ惑うだけでなく、どうにかして怒りをもって立ち上がる。いや、立ち上がらなくてはならない。そしてそれは、現場からの撤退を余儀なくされて、悔しさをにじませるように自棄酒を煽らなければならない国連大佐や、誇りを傷つけられて「恥ずかしい」と漏らすカメラマンに象徴されるように、おそらくほとんどはやり場のない怒りなのだ。そこで虚無に陥ったり、打算的になるか否かで、人間の価値というものは決まるような気がする。平和ボケした日本という国にあっても、そこらあたりのスピリットだけは、心に留めておきたい。

 

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